障害があると仕事にも支障があり、経済的な負担も大きくのしかかります。その負担に対応するために設けられている保障はどのようなものがあるのでしょうか。自ら申請しないと生かせない制度もありますので、損をしないよう把握しておきましょう。
障害者のお金の負担と保障制度
はじめに、障害福祉サービスの利用者負担のお話をしておきます。
福祉サービスを利用するにあたっての料金は、
① 所得に応じた支払い上限の設定がされています。
② さらに世帯内で複数のサービス(介護サービス・障害福祉サービス・補装具)を使用している人がいれば、その合算金額にも上限を設け、「高額福祉サービス費」の対象になります。(上限は所得が多い人でも37200円)
そして、
③ サービスを受けることで生活保護になる可能性があるのならば、ならないようになるまで負担額を引き下げる(生活保護移行防止)
④ 手元に25000円が残るよう食費・光熱水費を減額
という段階的な保証を設けています。サービス利用料が負担で生活に支障を来している場合は、障害福祉窓口に申し出てください。
またサービス自体の負担軽減だけでなく、金銭的な支援も得ることができます。それが以下の2種類です。
① 障害基礎年金
② 障害厚生年金
障害基礎年金
<該当者>
病気や怪我で初めて診察を受けた日(初診日)に国民年金に加入していた人
<対象となる障害の程度>
障害等級1・2級 (具体例は後述)
<支給額>
障害の程度や子供の数で決まります。料金の形態は以下です。
【1級】 780,100円×1.25+子の加算
【2級】 780,100円+子の加算
•第1子・第2子 各 224,500円
•第3子以降 各 74,800円
障害厚生年金
<該当者>
病気や怪我で初めて診察を受けた日(初診日)に厚生年金に加入していた人は、障害基礎年金に上乗せして支給を受けることができます。
<対象となる障害の程度>
障害等級1・2・3級 (具体例は後述)
<支給額>
報酬比例(厚生年金保険加入期間中の報酬および加入期間に基づいて計算される)の年金額によって決定される
障害者年金の対象外と認定基準
<給付の対象外>
一定の期間公的年金、保険料の未納がある人
<対象となる障害の例>
● 外部障害:(眼・聴覚・肢体)などの障害
● 精神障害:統合失調症、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など
● 内部障害:呼吸器疾患・心疾患・腎疾患・血液疾患・がん・糖尿病など
さらに聴力や視力、運動機能の障害の程度により障害等級が決定し、1~3級に該当した方が対象となります。詳しい障害等級の分類はリンクをご参考ください。
その他の障害者のための手当
■ 特別障害者手当
著しく重度の障害を有するため常時特別の介護を必要とし、在宅で生活する20歳以上の人へ支給されます。
■ 障害児福祉手当
重度障害のために常時介護を必要とし、在宅で生活する20歳未満の人に支給されます。
※これらの手当は受給者や扶養義務者が一定以上の所得を得ている場合は対象外です。
■ 自治体独自の制度
重度の障害を有し自宅で生活されている人のために、独自の給付を行っているところもあります。
たとえば東京都では、「重度心身障碍者手当」というものがあり月額6万の支給を受けることができます。金額や制度の有無は各自治体で大きく異なります。
障害者の税金の控除
障害者手帳をもっている方、障害者と同居する家族(同一生計配偶者又は扶養親族)は住民税、所得税の控除が受けられます。
また障害者手帳を持っていなくても、65歳以上で特別障害(身体障害1・2級、重度の知的・精神障害など)に準ずるとされた人(寝たきりなど)ならば税金の割引が受けられます。
税金控除の申請手続きは、年末調整または確定申告の際に自ら申し出る必要があります。
(申請方法)
・勤務先に提出する『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』の『C 障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生』の欄に必要事項を記載し提出する。
・個人事業主など各自で確定申告書を行う人は、『確定申告書』の『障害者控除』の欄に必要事項を記載する。
まとめ
障害を有する方は障害の程度や所得によって、
1、サービス利用負担額の減額(高額障害福祉サービス、低所得者の減額措置)
2、障害基礎年金・障害厚生年金
3、在宅で生活する重度障害者のための手当
4、自治体独自の給付
5、所得税・住民税の控除
以上ような保証が受けられます。どの給付の対象になるかは、年金関連については市町村の年金担当窓口または年金事務所へ、障害福祉サービスについては市町村の障害者福祉窓口に相談してみましょう。