高齢で障害を持っている方はたくさんいます。加齢に伴い悪化する可能性が高まる障害もあります。
高齢になって使えるサービスは介護保険サービスだけではありません。身体状態・所得などの条件によっては介護保険と障害者福祉の保証を併用することができます。
障害者福祉・介護保険の利用負担(簡易)
■ 介護保険法
原則1割負担
所得に応じて2割ないし3割
さらに高額介護制度により所得に応じた上限が設定され、支払額が一定の金額以上になることはありません。
■ 障害者福祉制度
所得に応じた上限設定
(上限金額)
生活保護受給世帯:0円
低所得(市民税非課税世帯):0円
一般1(市民税課税 所得割16万未満):9300円
一般2:上記以外:37200円
◎すなわち低所得・生活保護世帯は負担金が発生しません
さらに対象者へ高額障害福祉サービス、医療型施設に入居されている方の減免措置制度、生活保護移行防止のための減免、食費や光熱費などの補助が設けられている。
詳細は以下の各項を参照ください。
障害者保険と介護保険 高齢者はどっちに当てはまる?
65歳以上になったら(40歳以上65歳未満の特定疾患に該当する人も含む)、障害者の認定を受けている人であっても介護保険の方が優先されます。
※介護保険サービスで用意がされているサービスについてはです。
先述の通り、介護保険制度と障害者福祉制度では負担金が異なります。(障害者福祉制度の方が基本的に負担が少ない場合が多いです)
しかし両者の制度を利用する人は、「心身に何らかの支障があり支援を必要としている」という点は同じです。違うのはそれぞれが法律で定める障害者に該当するしているのかしていないかということだけです。
サポートがないと生活に支障があるという点は同じなのに、負担が異なるというのはおかしな話です。
というわけで、基本的には65歳以上になると介護保険に切り替わり基本的には1~3割負担を負い、障害者制度に当てはまらない人との公平性を保っています。
しかし以下の例外もあります。
障害者制度が優先される場合
障害とひとことで言ってもその心身の状況は多様で、介護サービスでは対応していない支援を必要としている人もいます。
たとえば車椅子を必要とするとき、介護保険で貸与される車椅子は標準的な既製品の中から選択することになりますが、それでは障害をもった利用者の体に合わないこともあります。介護保険で用意している車椅子は加齢により身体機能に低下を来した高齢者に合わせたもので、四肢麻痺や変形など個別のニーズに合わせられるものがない場合もあります。
また介護保険法では保障のないサービスもあります。行動援護や自立支援、就労継続支援などです。
このように介護保険上のサービスでは不十分な場合には障害福祉サービスが利用できます。
介護保険の1割負担が自己負担なしになる人
介護保険サービスの対象となる障害者で、以下の条件に当てはまる人は介護保険の負担料金が発生しません。
(条件)
①65歳になる日の前日までに5年間にわたり介護保険サービスに相当する障害福祉サービスを受けていた
②65歳になる日の前日までに「低所得」または「生活保護」に該当、また65歳になって利用者負担の軽減申請の際も「低所得」「生活保護」に該当する
③65歳以上に達するまでに障害者区分2以上
④65歳になるまで介護保険サービスを利用しなかった
もう少し分かりやすく言うと、65歳になるまで障害者サービスを受けていた低所得者の人です。(障害程度区分1は除く)
※65歳になる前日までの5年間にわたる期間、入院などのやむを得ない理由により障害福祉サービスの支給を受けていない期間がある場合は介護保険料軽減の対象者になります。
※介護保険2割 3割の人が減額されるわけではなく、あくまで低所得者のための制度です。
65歳以上でも要介護認定で非該当となった人
65歳以上になっても「要支援」「要介護」に該当しない人で、市町村が必要と認めた場合は障害者福祉サービスを受けることができます。
障害福祉サービスの利用料を減額する制度
高額障害福祉サービス
まず65歳以上の人のサービス利用料は原則1割(~3割)負担、条件によっては障害者福祉サービスの制度が適応される、低所得者は負担金なしになるという内容をここまででお伝えしました。
しかし個人の利用料が高額にならなくても、同じ世帯で障害福祉サービスを受けている人、介護保険サービスを受けている人がいれば大きな負担です。
これに対応するため、同世帯で複数のサービスを受けている場合、その合算料金が上限を超えた場合は払い戻しを受けることができるという制度が「高額障害福祉サービス」です。
合算できるサービスとは以下の4種です
① 障害者福祉 ②補装具費 ③介護保険サービス費 ④障害児支援サービス
たとえば
一定以上の所得を得ている<所得区分:一般2>の世帯でも、世帯内の合算額が37200円を超えたら超過分が戻ります。
特定の治療費の負担を軽減 (更生医療)
更生医療とは手術などの治療を行うことにより、障害の状態が改善されるなどの効果が期待できる身体障害者(18歳以上)に対し、必要な自立支援医療の給付を行うものです。
たとえば角膜手術、関節形成手術、外耳形成手術、心臓手術、人工透析療法、じん移植術、唇顎口蓋裂の歯科矯正、抗HIV療法などを受ける場合に対象になります。
治療費とは診察や薬剤費、手術費、居宅や病院における看護費、移送費などが含まれます。
所得に応じて医療費の上限額が設定されている他、市町村によっては上限額からさらに減額できる独自の制度を設けているところもあります。
継続的に発生する介護費、生活費、治療費はしっかり保障を受けることで負担を大きく抑えることができます。改めて自分、家族の状況を振り返り、受けられる保証がないか確認してみましょう。